ヒューマンデザインの「権威」とは?|自分に合う意思決定の方法が分かる?

「考えれば考えるほど決められない」

「その場ではいいと思ったのに、あとから後悔する」

「人に相談すると、ますます分からなくなる」

そんな人がヒューマンデザインを調べると出てくるのが、「権威(オーソリティ/Authority)」という言葉です。

ヒューマンデザインでいう権威とは、簡単にいえば「自分は何を拠り所に決断するとされているか」を示すものです。

ただし、誤解しやすいところがあります。

権威を見ても、

「転職するのが正解」

「この人と結婚するべき」

「この商品を買うべき」

と答えが表示されるわけではありません。

分かるのは「何を選ぶか」ではなく、「自分はどう決めるとされているか」です。

ここを分けると、ヒューマンデザインの権威を使う意味が見えやすくなります。

ヒューマンデザインの「権威」とは?

ヒューマンデザインでは、生年月日・出生時刻・出生地からボディグラフと呼ばれるチャートを作ります。

そのチャートのセンターがどのように定義されているかによって、自分の「権威」が決まります。

ヒューマンデザインでは、頭で理由を並べて決めることよりも、それぞれの人に設定されているとする身体的・感情的な決断プロセスを重視します。

その決断の拠り所が「権威」です。

たとえば、

一度時間を置いたほうがよい人。

その瞬間の身体反応を見る人。

一瞬の直感を見る人。

自分で話しながら答えを聞く人。

と、人によって決め方が違うと考えます。

つまり「優柔不断だからもっと早く決断しなければ」と一律に考えるのではなく、

「そもそも自分は、すぐ決めるタイプなのか?」

から見直す考え方です。

ストラテジーと権威は何が違う?

ヒューマンデザインを調べると、「ストラテジー(Strategy/戦略)」も一緒に出てきます。

この二つは役割が違います。

大まかに整理すると、

ストラテジーは「いつ・どういう形で物事とかかわるか」。

権威は「その場面で、自分はどう決めるか」。

です。

たとえばプロジェクターなら「招待を待つ」というストラテジーがあります。

しかし、招待が来たからすべて受けるわけではありません。

「この招待を受けるか」を自分の権威で判断する、という流れです。

そのため、ヒューマンデザインでは「ストラテジー&オーソリティ」とセットで扱われることが多くあります。

権威で分かるのは「正解」ではなく「決めるプロセス」

ここがこの記事で一番大切なところです。

たとえば、

A社へ転職する。

今の会社に残る。

という2択で迷っているとします。

権威を調べても、

「A社へ行ってください」

とは表示されません。

もし感情権威なら、

「今すぐ答えを出さず、感情の高いときと低いときを通過してから確認する」

という決め方になります。

仙骨権威なら、

「具体的な選択肢に対して、その瞬間に起こる身体のYes/No反応を見る」

という考え方になります。

つまり権威とは、答えを外から与える占いというより、「自分の答えをどのように拾うか」を分類した仕組みに近いものです。

自分の権威によって決断の「速さ」も変わる

権威の違いで特に面白いのが、決断までに必要とされる時間です。

全員が、

「早く決めるほどいい」

わけではありません。

反対に、

「何日もじっくり考えるほどいい」

とも限りません。

ヒューマンデザインでは、権威によって決断のタイミングそのものが違うと考えます。

権威決断の拠り所基本的な考え方
感情権威感情の波即決せず時間を置く
仙骨権威身体の反応その瞬間のYes/Noを見る
脾臓権威一瞬の直感今その場で感じる微細な感覚を見る
エゴ権威自分の意志・欲求本当に望み、力を注ぎたいかを見る
自己投影型自分の声話しながら自分の言葉を聞く
環境・サウンディングボード型環境と対話安心できる場所で話し、自分の声を聞く
月の権威時間と月の周期大きな決断を急がず一周期かけて見る

なお、エゴ権威を「エゴ・マニフェスト」「エゴ・プロジェクト」に分ける説明もあります。

そのため資料によって「7種類」「8項目」など数え方に違いがありますが、重要なのは数を覚えることではなく、自分のチャートでどの決断プロセスに当たるかを見ることです。

感情権威|「今すぐ決めない」が決断方法になる

感情権威では、感情が高揚しているときも、落ち込んでいるときも、その瞬間だけで重要な判断をしないことが基本とされます。

たとえば、転職先から内定をもらって興奮している。

その瞬間に、

「絶対ここへ行く」

と決めるのではなく、一度時間を置きます。

逆に、嫌なことがあって、

「もう絶対辞める」

となった日にも決めません。

感情が上下したあとでも、

「やはり行きたい」

と感じるかを見るわけです。

つまり感情権威の人にとっては、「決断が遅い」ことが必ずしも欠点ではありません。

ただし、「何日待てば必ず正解」という決まった日数があるわけでもありません。

大切なのは、感情のピークや谷だけで決めない、という考え方です。

仙骨権威|考える前の身体反応を見る

仙骨権威は、ジェネレーターやマニフェスティング・ジェネレーターの一部に当てはまるとされます。

特徴は、その場の身体的な反応です。

「この仕事やりたい?」

と聞かれたとき、

自然に「うん」と前向きな反応が出る。

身体が前に動く感じがする。

逆に、

「うーん」

と重く感じる。

身体が引く。

こうした反応を見ると説明されています。

ただし、

「人生で何をしたい?」

のような大きすぎる質問では反応が分かりにくいことがあります。

「この仕事に応募したい?」

「この人に会いたい?」

のように、Yes/Noで答えられる具体的な形にすると試しやすくなります。

脾臓権威|あとから考える前の「一瞬」を見る

脾臓権威では、その瞬間に起こる静かな直感・本能的な感覚を見るとされます。

たとえば初めて会った人に、

「理由は説明できないけれど、少し距離を置きたい」

と感じる。

場所へ入った瞬間、

「ここは落ち着く」

と感じる。

こうした一瞬の感覚です。

感情権威のように時間をかけるのではなく、その瞬間に現れると説明されます。

ただし、現実には「不安」と「直感」を区別しにくい場面もあります。

そのため、最初から人生の大きな決断を直感だけで行うのではなく、日常の小さな場面で自分の感覚を観察してみるほうが試しやすいでしょう。

エゴ権威|「本当にそれを望んでいるか」を見る

エゴ権威では、自分の意志や欲求が重要になります。

「これはやるべき?」

ではなく、

「自分は本当にこれをやりたい?」

という見方です。

たとえば昇進を勧められたとき、

「普通なら昇進したほうがいい」

「周囲が期待している」

だけではなく、

「自分はこの役割に本当に力を使いたいのか」

を見ることになります。

エゴ権威には、マニフェスターに現れるエゴ・マニフェスト型と、プロジェクターに現れるエゴ・プロジェクト型があり、細かな使い方は異なります。

共通するのは、「他人が望むこと」ではなく、「自分はそれに意志を使いたいのか」を見る点です。

自己投影型|人に答えを聞くのではなく、自分の声を聞く

自己投影型の権威では、話すことが重要とされます。

ただし、相談相手から、

「Aにしたほうがいいよ」

と答えをもらうためではありません。

「A社へ行くとしたら、こういう生活になると思う」

「でも今の仕事にも、この部分は好きなんだよね」

と話している自分自身の声を聞きます。

話しているうちに、

「自分、本当はこっちへ行きたいんだな」

と気づく。

このプロセスが決断につながると考えます。

そのため、相談相手は「正解を教えてくれる人」より、余計な答えを押しつけずに聞いてくれる人のほうが役割に合います。

環境権威|「誰に相談するか」より「どこで話すか」も見る

メンタル・プロジェクターなどには、身体内部に直接の権威を持たないとされる人がいます。

この場合、安心できる環境や人との対話が重要になります。

ここでも、

「みんなに多数決で決めてもらう」

という意味ではありません。

人に話しながら、自分の声がどう聞こえるのか。

その場所にいると自分は落ち着いて考えられるのか。

環境によって自分の感覚がどう変わるのか。

そこを観察します。

他人は「答えを出す人」ではなく、自分の考えを響かせるサウンディングボード、つまり反響板のような役割です。

月の権威|大きな決断をすぐ終わらせない

リフレクターには、一般的な意味での内なる権威がないとされます。

大きな決断では、約28日間の月の周期を通して見るという独特の方法が説明されています。

今日考えたとき。

数日後に考えたとき。

別の人と話したとき。

違う環境にいるとき。

時間の中で変化する自分の感覚を観察します。

つまり「28日たった瞬間に正解が降りてくる」というより、急いで一時点の自分だけで決めないためのプロセスとして理解すると分かりやすいでしょう。

自分の権威はどうやって知る?

自分の権威は、自己診断で選ぶものではありません。

「私は直感型だから脾臓権威だと思う」

という決め方ではなく、生年月日・出生時刻・出生地から作ったボディグラフの構成で決まります。

そのため、まずチャートを出します。

ここで気をつけたいのが出生時刻です。

ヒューマンデザイン公式では、出生時刻が数分違うことでゲートやラインなどが変化し、場合によってはプロファイルや権威そのものが変わる可能性もあると説明しています。

母子手帳などで正確な出生時刻が分かるなら、確認してから入力するほうがよいでしょう。

出生時刻が不明なら、結果を絶対的なものとして扱わず、「時刻が不確かなチャート」であることを前提に見る必要があります。

権威を知っても、頭を使ってはいけないわけではない

「頭で決めない」

というヒューマンデザインの説明を見ると、

「じゃあ情報収集や比較はしなくていいの?」

と思うかもしれません。

そこまで極端に考える必要はありません。

たとえば家を買うなら、

価格。

住宅ローン。

立地。

災害リスク。

建物の状態。

といった情報は確認する必要があります。

ヒューマンデザインの権威を使うのであれば、その情報を全部見たうえで、

「最終的に自分はどのようなプロセスで決めるのか」

を見る、と分けたほうが現実的です。

感情権威だから契約書を読まなくていい。

仙骨がYesと言ったから予算を確認しなくていい。

という意味ではありません。

「権威どおりに決めれば必ず成功する」とは考えない

ヒューマンデザインの公式説明では、ストラテジーと権威に沿うことによって抵抗が減り、自分らしく生きられるとされています。

ただし、これはヒューマンデザイン体系の中での主張です。

現在、ヒューマンデザインの権威に従った人のほうが、従わない人より仕事・恋愛・金銭などの意思決定結果が良くなると、科学的に確立されているわけではありません。

そのため、

「私の権威がこうだから、絶対この決断が正しい」

と未来の結果まで保証するものとして使うより、

「自分は普段、どうやって決断しているのか」

を観察する一つの方法として試すほうが扱いやすいでしょう。

まず人生の大きな決断ではなく、小さな選択で試す

自分の権威を知ったからといって、翌日に会社を辞める必要はありません。

むしろ最初は、小さな選択で試したほうが分かります。

感情権威なら、

「今日欲しいと思った物を、明日も欲しいと思うか待ってみる」

仙骨権威なら、

「今日はこの店へ行きたい?」

と身体の反応を観察する。

自己投影型なら、

「週末どう過ごしたいか」

を誰かに話し、自分の声を聞いてみる。

こうした小さな実験なら、あとから振り返れます。

「時間を置いたほうが後悔が少なかった」

「身体のYesと思ったけれど、実際は単なる勢いだった」

など、自分の経験がたまっていきます。

公式側も、ヒューマンデザインは信じ込むことより、まず小さな決断で試して違いを観察するものとして説明しています。

権威で知るのは「正しい選択肢」ではなく「自分の決め方」

ヒューマンデザインの権威を知って一番役立つのは、

「私は何を選べばいい?」

という答えそのものではありません。

「私は、どういう状態になったとき決めればいい?」

を考えられることです。

感情が落ち着くまで待つ人。

身体のYes/Noを見る人。

一瞬の直感を見る人。

自分の欲求を見る人。

声に出して自分自身の答えを聞く人。

環境と対話の中で整理する人。

時間をかけて変化を観察する人。

ヒューマンデザインでは、それぞれに違う決断方法があると考えます。

だから、自分の権威を知ったあとにすることは、「その答えに従って人生を決める」ことではありません。

まず、小さな選択で試す。

その決め方をしたとき、自分はどう感じたか。

あとから見て納得できたか。

それを自分の経験として積み重ねる。

その使い方なら、ヒューマンデザインに人生の正解を決めてもらうのではなく、自分自身の意思決定を観察するための道具として使えます。

出典

Jovian Archive|What is Inner Authority?

Jovian Archive|What Is Human Design?

Jovian Archive|Understanding Strategy and Authority in Human Design

Jovian Archive|Free Human Design Chart Calculator

Human Design Japan|ヒューマンデザインとは

HD&Me|Is Human Design Real?

HD&Me|Is Human Design Pseudoscience?