「ミディアムシップ」という言葉を初めて聞くと、何をするものなのか分かりにくいかもしれません。
ミディアムシップとは、簡単にいえば、ミディアムと呼ばれる人が仲介役となり、亡くなった人からの情報やメッセージを受け取って相談者へ伝えるとされるスピリチュアルな実践です。
日本語では「霊界通信」「霊媒」などの言葉で説明されることがあります。
ただし、ここで大切なのは「故人と話せる方法」とだけ覚えないことです。
ミディアムシップには、希望した故人と必ずつながれるとは限らないという考え方があります。また、「エビデンシャル・ミディアムシップ」という名称もありますが、科学的に故人との通信が証明されたという意味ではありません。
まずは、何をするものなのかから整理していきます。
ミディアムシップとは、ミディアムが故人との間を仲介するとされるもの
「ミディアム(medium)」は、ここでは故人などの霊的存在と生きている人との間を仲介するとされる人を指します。
そして、その働きやコミュニケーションそのものが「ミディアムシップ(mediumship)」です。
日本スピリチュアリスト連盟では、ミディアムを霊的存在から情報を受け取って人に伝える役割を持つ人、ミディアムシップをその行為・状態・働きと説明しています。(日本スピリチュアリスト連盟)
つまり、
「ミディアム」=仲介する人
「ミディアムシップ」=仲介して情報やメッセージを伝える行為
と考えると分かりやすいでしょう。
実際のセッションでは何をする?
すべてのミディアムが同じ方法を使うわけではありませんが、英国式などでよく見られるのが「エビデンシャル・ミディアムシップ」です。
一般的には、最初から相談者が故人について詳しく説明するのではなく、ミディアムが受け取ったとする情報を伝えていきます。
たとえば、
- 性格
- 職業
- 家族との関係
- 趣味
- 生前の出来事
- 相談者との思い出
といった内容です。
相談者が「それは父のことだ」「その出来事は家族しか知らない」などと確認したうえで、その故人からのものとされるメッセージへ進んでいく、という形です。
実際に複数のミディアムシップ提供者が、人物を特定するための情報を先に示し、その後にメッセージを伝える流れを説明しています。(ヒミカ5)
「エビデンシャル」は科学的に証明されたという意味ではない
ここは、初めてミディアムシップを知る人ほど注意したいところです。
「エビデンシャル(evidential)」には「証拠となる」という意味があります。
ただし、エビデンシャル・ミディアムシップでいう「証拠」は、科学的に死後の世界や故人との通信が証明されたという意味ではありません。
セッションの中で、
「この人物はこういう人だった」
「こういう仕事をしていた」
「あなたとの間にこういう出来事があった」
といった情報を示し、相談者が故人を識別するための手がかりにする、という意味で使われています。
英国のSpiritualists’ National Unionも、ミディアムの役割について、通信しているとされる霊を識別し、その人物を確認するための個人的な情報を伝えるものと説明しています。(SNU)
では、科学的にはどうなのでしょうか。
ミディアムを使った実験研究自体は存在します。
2021年に公表された18実験を対象としたメタ分析では、偶然を上回る情報取得を示す結果が報告されています。一方、別の厳格な対照実験では、対象となる読み取りと対照との間に差が確認されませんでした。過去の研究でも結果や実験方法をめぐる議論が続いています。(PubMed)
したがって、
「研究されている」ことと、
「故人と通信できることが科学的に確立している」ことは、
分けて考えたほうがよいでしょう。
ミディアムシップは、現時点ではスピリチュアルな実践や体験として捉えておくのが適切です。
会いたい故人と必ずつながれるわけではない
「亡くなった母と話したい」
「夫に伝えられなかったことを伝えたい」
という目的でミディアムシップを探す人もいるでしょう。
ただし、ミディアムシップを提供している側でも、特定の故人との通信を保証していないケースがあります。
「誰が現れるかはミディアム側では決められない」「希望する故人が来ない場合もある」と明記している提供者は複数あります。(ミディアムヒトミOFFICIAL SITE)
そのため、
「この人に頼めば、必ず父と話せる」
というサービスとして考えると、期待とのズレが生じます。
受けるのであれば、特定の人との通信が保証されているものではないという前提まで確認しておいたほうがよいでしょう。
ミディアムシップとチャネリングは何が違う?
どちらも「目に見えない存在からメッセージを受け取る」と説明されることがあるため、混同されやすい言葉です。
一般的には、対象の違いで分けると理解しやすくなります。
ミディアムシップは、亡くなった家族・友人など、人格を持つ故人との通信を中心とします。
一方のチャネリングは、スピリットガイド、天使、高次存在、宇宙意識など、より広い存在との通信を含む言葉として使われることがあります。
ただし、スピリチュアル分野では用語が完全に統一されているわけではありません。提供者によって両者を重ねて使う場合もあります。(note(ノート))
名前だけで選ぶより、「誰・何からのメッセージを扱うセッションなのか」を確認したほうが確実です。
自分が探しているのはミディアムシップなのか
ここまで分かると、自分が探しているものかどうかを判断しやすくなります。
「亡くなった家族や友人からのメッセージを受け取りたい」という場合は、ミディアムシップが目的に近いでしょう。
一方、
「仕事や恋愛の未来を知りたい」
「自分の適性や人生の方向を相談したい」
のであれば、ミディアムシップそのものではなく、サイキックリーディングや人生相談など別のサービスとして提供されていることがあります。
また、
「亡くした人のことを考えると苦しくて生活できない」
「悲しみや自責の気持ちを誰かに支えてほしい」
という場合は、目的が違います。
ミディアムシップは故人との通信を扱うとされるスピリチュアルな実践であり、心理的な支援や医療の代わりではありません。
死別後の悲しみが長く続き、日常生活にも支障がある場合について、厚生労働省も専門機関への相談を案内しています。(こころの耳)
「故人から何か聞きたい」のか。
「自分の悲しさを支えてほしい」のか。
ここを分けて考えると、探す先を間違えにくくなります。
ミディアムシップを受ける前に確認しておきたいこと
興味を持って実際にセッションを受ける場合は、「本物か偽物か」を見抜こうとするだけでは十分ではありません。
まず確認したいのは、その人が何を約束しているかです。
特定の故人との通信を保証しているのか。どのような流れでセッションを行うのか。料金はいくらで、追加料金が発生することはあるのか。キャンセル条件はどうなっているのか。
このあたりが事前に明示されているかを確認しておきましょう。
特に注意したいのは、
「あなたには悪い霊がついている」
「このままだと家族に不幸が起きる」
「追加料金を払わなければ解決できない」
などと不安をあおって契約や支払いを迫られるケースです。
消費者庁は、霊感などを理由に重大な不利益が起こると不安をあおり、契約が必要だと思わせる勧誘について注意を呼びかけています。一定の場合には消費者契約法による取消しの対象となることもあります。(内閣府)
ミディアムシップに興味を持つことと、言われたことをすべて事実として受け入れることは別です。
自分で判断する余地を残してくれるかどうかも、セッションを選ぶ一つの基準になります。
ミディアムシップは「故人と話す方法」だけでは理解しにくい
ミディアムシップとは、ミディアムを仲介して、亡くなった人からの情報やメッセージを受け取るとされる実践です。
エビデンシャル・ミディアムシップでは、その故人だと判断するための人物像や思い出などを示してから、メッセージを伝える方法が取られています。
ただし、「エビデンシャル」という名前は、故人との通信が科学的に証明済みという意味ではありません。
また、希望した故人と必ずつながれると保証されているものでもありません。
最も大切なのは、自分が何を求めているのかを先に整理することです。
故人からのメッセージを求めているならミディアムシップ。
より広い高次存在などとの通信を求めるならチャネリング。
死別後の自分の悲しみを支えてほしいのであれば、グリーフケアや専門的な相談先。
同じ「つながりたい」という気持ちから始まっても、求めるものによって選ぶ先は変わります。
出典
一般社団法人日本スピリチュアリスト連盟|スピリチュアリズムとは
Spiritualists’ National Union|Mediumship
PubMed|Anomalous information reception by mediums: A meta-analysis of the scientific evidence
PubMed|Testing alleged mediumistic writing: An experimental controlled study